ミーティングでいただいた意見
(1) 気象も関係しますが、農家は多くの種類の肥料も使用します。主な肥料は窒素を含む尿素です。窒素は成長を助けますが、ジャガイモの根、茎、葉にも影響を与え、植物に病気を引き起こします。
(2) 彼らは、良い生産のために実際にどれだけの肥料の量を使う必要があるかを知りたいのです。
(3) ここに技術の不足があります。ほとんどの農家は低コストのため、肥料を撒くのに手を使っています。そしてもう一つの大きな理由は土地の不足です。農家はジャガイモを栽培する土地をあまり持っていないため、技術ではなく自分の手で肥料を撒いているのです。
(4) 教育の欠如。ほとんどの農家は伝統的な生産方法に従っています。これが生産量が低い主な理由です。
(5) 農民はあらゆることを知りたがっていますが、地理的な問題も数多くあります。そして、その主なものは政府の政策の欠如です。人々は農業に将来はないと考えています。農民は非常に勤勉ですが、政府は怠慢です。農民とその将来のための設備はありません。これが続くなら、私もこの職業を辞めようと考えています。(スンダル・マラ)
(6) 農業に未来はないと思います。農家は肥料を適時に入手できません。農家は良い肥料についての知識がありません。彼らは他人の真似をします。
(7) ジャガイモの病気は多いと思いますが、政府はそのことに関心がありません。政府が私たちと連携すれば、農家にとって非常に助かります。農家にとって市場も不足しています。ほとんどの農家は知識もなく独自に栽培しており、それが生産に影響を及ぼしています。
1 ミーティングの目的、概要説明
今回のミーティングには、3つの目的があります。
(1) 我々のNPO成果の報告を行う
我々が設置した気象観測装置によるPotatoの疫病予測結果を説明します。
(2) Potato生産の課題を整理する
課題だけか、と思われるかもしれませんが、皆さんと共通の認識を持ちたいために設定しました。
(3) Sankhuで改善したいことを教えていただく
今後のNPO活動へのヒントを頂きたく、設定させてもらいました。
皆様のネパール語は、Susaさんに英語翻訳してもらい、その後に日本語に表示しています。そのため、皆様の発言は、短い文章を繋ぎ、Susaさんの顔を見ながら進めていただけば有り難いです。
ミーティングは概ね1時間半を予定しております。
終了後には、日本式カレーを試食していただきます。
2 挨拶:Osanami Sensei
それでは、はじめにNPOの代表者 OsanamiSensei から挨拶をさせていただきます。
皆さん、今日はお忙しいところお集まりいただきありがとうございます。
私が、サクー村を初めて訪れたのは1993年です。
1995年にアニタさんとスリエさんの協力を得て、この村で皆さんが灌漑システムをどのように利用しているか、1年3作という水利用の高い生産性について、学生と一緒に研究させていただきました。
サクーは、皆さんが先生で、私どもは生徒という学びの場となったのです。
2013年になって、NPO農業開発研究会は、農薬の適正な使用技術を教えようと努力してまいりました。
農家の健康のためには、農薬を使わないことがベストです。しかし、Dharuwaが発生した場合は、農薬を適時、適量、危険のない方法で散布しなければなりません。
適時・適量の農薬の散布を、どのように実行できるのでしょうか?気温、相対湿度、降雨量を観測すると、何時?サクーでDharuwaが初発する可能性が高いかが、わかります。
皆様と一緒に気象観測を始めたのは、Dharuwa初発の可能性の高い日を知るためです。
本日は、サクーに設置した気象観測器NEXAGの気象観測データから、どのようなことが分かるのかについてお話したいと思います。
そして、皆様からご意見をいただき、サクーにおける持続的農業に寄与できるよう、私どもの活動に生かしたいと思います。
3 NPOの活動成果
NPOの活動成果として、2015頃から始めた気象観測とPotatoの疫病危険度判定について、観測機器の管理をお願いしてきた Surja さんにお願いします。
質問があれば、その都度いただき、お答えしたいと思います。
4 Sankhuにおける(販売用)Potatoes生産の課題
NPOとして、SankhuのPotato生産に関わってきたことから、今更と思われるかもしれませんが、Potato生産の課題を議論し、共通の認識を持ちたいと思います。
市場で高く売るためには、品質を管理しなければなりません。市場(消費者)は、「より安全」「より安く」「よりおいしいもの」そして「より調理しやすいもの」を選択します。実際には、「外見」で判断されることが多いです。
有利販売のためには、数と質を揃えることが重要であり、個々の生産者が集荷業者と対応していては、常に買い叩かれます。
事前に我々が把握した事項を3つにわけてみました。
(1) 品種の選択
(2) 肥料の使用
(3) 農薬の使用
(1)品種の選択
農家は、Potato品種の特性(増収性、耐病性など)に対する理解が足りません。
1)私たちは、JanakDev, Cardinal, Rozita, Khumal Rato, Desire, MS42-2の種Potetoを栽培した経験があります。それぞれの品種の特性を学びましたが、その特性の共通認識ができていません。
2)JanakDevはよく売れます。しかし、農家が集荷業者に1袋のPotatoを売る時に、他の品種を混ぜると、この一袋のPotatoの価格は市場の相場より安くなります。この混入(Contamination)によって、農家は損失を被ります。
(2)肥料の使用
今から30年前、乾季の作物生産には、たい肥とChicken Compostが使われていました。 高収益生産には、N(Nitrogen)、P(Phosphate)、K(Potash)の肥料成分を、均衡良く使う必要がありますが、多くの農家は、この均衡を考えていません。
1)農家が多く使う尿素肥料の46%は窒素N(Nitrogen)成分で、その他の成分(P)が不足し、生産量が低下しています。
2)DAPはNが18%、Pが46%ですが、価格が高いため、あまり使われていません。
3)微量要素は重要ですが、土壌分析に基づく投入はなされていません。
(3)農薬の使用
現在、使われている殺菌剤はMancozebです。Mancozebは、米国の環境保全局EPAという世界的に権威ある機関が女性ホルモンに作用する可能性が高い、毒物として認めています。したがって、細心の注意をはらって、適正に使用しなければなりません。
1)散布時の防護対策(マスク、ゴーグル、手袋、ゴム長靴)は普及していません。
2)散布頻度を減らす取り組みはありません。
3)疫病の発生を周知する方法もありません。
(4)その他
その他、Potato生産に関係する課題を教えて下さい。
5 Sankhuで改善したいこと
Potato生産以外に、Sankhuで改善したいことを教えてください。