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Blitecast 中間報告

6. BuTECAST疫病感染危険指数による適正なよ薬使用

 30°C条件 注)など、Sankhuに起こりうる菌の死滅のための気象条件は今後の継続的な観察が必要ですが、 これによって、Sankhuの先進的な農家が指摘していた夏バレイショと冬バレイショのバレイショ疫病発生状況の違いに、科学的根拠が与えることができます。 2020年から2022年の予測結果から、以下のようなアドバイスの仮説を立てることができます。

(1)冬バレイショは安全  ->  農薬散布は不要

(2)夏バレイショは極めて高いリスク ー>  農薬散布は必要、ただし、気象情報を利用して初回散布日を決め、初回散布後の散布間隔は気象情報によって決定する。

 いうまでもなく、無感染の種イモ供給の重要性、密植を避けるなどの栽培法の適用に加えて、酸性土壌対策、排水対策、作付けローテーションなど、いくつかの中長期的な対策が前提となります。

 フィールドサーバーは気象情報のみならず、土壌の水分・栄養情報など、設置するセンサーを選択することで、さまざまな農業のための情報を阻場レベルで取得することができます。疫病対策以外にもSDGSの観点から、さまざまな持続的な農業のための基礎情報を得ることができます。

 近年のスマホの普及状況をみると、AI技術を活用し、フィールドサー′くによる継続的、かつ組織的な 気象観測値の蓄積、観察圃場の設置など補助的な農民の活動によって、Sankhuの持続可能な農業をめざした疫病対策は大きな進展が期待されます。

注) 30°C条件の有効性については、池田幸子・森岡昌子・近藤巧、2016b参照。北海道農農業試験場 池田氏によれば、疫病菌の生育好適条件として実験室内で確認された条件は以下のようです。

1. 菌糸伸長温度帯は4~26°C(最適20°C)
2. 遊走子放出温度帯は2-25°C(最適12-13°C)
3. 培養菌は乾熱処理30°C×6時間、40°C×4時間で死滅
4. 温湯処理30°C・35°Cではごく短い時間(数分?)で死滅
5. 遊走子嚢は常温(20°C前後)でも8週間後死滅

 ただ、4について、露地圃場で30°Cを超えたからと言ってすぐに全滅とまではいかず、病斑の拡大は止まるが、その後降雨と適温があるとまた少しずつ病斑が拡大するので、全滅はしていないと考えられる。これに関しては、葉面は蒸散 作用によって気温より若干低い温度となることが示されており、気温が30°Cとなっても葉面はもう少し低い温度となり、 疫病菌がなんとかエスケープしていると推測される。35°Cくらいの気温になると明らかに疫病が終ると推測される(ただしジャガイモも弱る)。

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