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4.Sankhuにおけるフィールドサーバによる気象観測

 地域に適切な情報をもたらすためには、その地域の継続的な観察が必要です。Sankhuでは2014年から 実施したJICA草の根事業を契機に農民参加による気象観測を試み、ネパール農業気象庁が観測したSankhu周辺の日平均気温と日降雨量に関する長期データを使用して、FLABSによる事後的な予測を実施し課題解決の一貫として、バレイショ疫病(Phytophthora infestans L.)の発生時期を197l-2014年における気象条件(降水量と気温)に基づいて予察システム(北海道版)によって算出した。

 夏バレイショ栽培における播種期が8月中旬-9月未であると、多雨・高温(適温)であるため、疫病発生危険期の萌芽後到達日数は7-8日間、播種期が10月上旬から中旬であると約20日間であっ た。冬バレイショ栽培では12月中旬~1月中旬に播種、3月下旬~4月下旬に収穫であり、この時期 は乾季に相当する。降雨はほとんどなく、また、低温であるため、危険期到達日数は、栽培開始が早いときには60-80日間、遅いときには40-50日間であった。農薬の適正利用を図るには、得られた結果 を目処に、当該年次における気象条件と予察圃での発病状況を反映させ、また、夏バレイショ栽培では 収支計算(散布労賃・農薬代を含む)の結果も考慮して、適切な播種期を見極める必要がある。(詳細 は、農業開発研究会報告書「ネパール・サクーにおける農薬の適正な使用技術」2017参照)。

 2017年には、サクーにフィールドサー′くNexagを設置し、圃場レベルのデータを得ることによって、疫病発生予測に必要な気象の毎時間データをえることとした。大きな課題はネパールの通信整備状況と バッテリの入手困難性であった。これに関する詳細な設置の経過や観測データの評価については農業開 発研究会山口報告書に記されているが、2021年以降は継続的な観測値をインターネットを介して得ることができた。

 センサー仕様の変更を経て現在使用しているフィールドサー′くNexagセンサーの精度は以下のとおりである。

■温温度センサー

 標準湿度精度 :士3%RH25°Cに於いて(20-80%RH)

標準温度精度   :土0.5°C(25°Cに於いて)

■土壌水分センサー

体積含水率(VWG)  :土3% フルスケール(VWC 0-50%時) 

           士10% フルスケール(VWC50-100%時)

 電気伝導度    :土5% フルスケール

 温度         :土1°C

■雨量計

  雨量       :土0.5mm(20mm以下の時)

          土3%以内(20mm超過時)

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