Blitecaste0103

Blitecast 中間報告

3. ネパールで利用可能な気象データによる概要

 ネパール国水資源省水文・気象局(NepalDepartment OfHydrology and Meteology,NDHM)から Sankhu村における降雨量、カトマンズ空港(Kathmandu airport)における気温と降雨量(日単位) データを電子ファイルで入手可能である。以下ではカトマンズ空港のデータを参照しながら、サクーの 1971-2014の期間のデータでサクーの気象概況を把握する。なおNDHMによる関連資料(6-2節を参照) からSankhu村の気温饅測点はナガルコットと判断した。なお、入手可能な日気温データは最高・最低 気温であり、両者の平均値をもって日平均気温とした。また両地点での気象データにおいて欠損値が存 在したので、月別変動を検討するにあたっては、原則として前後2年間(合計4年間)の平均値によって補完した。 

 Sankhu村とカトマンズ空港における月降水量は、NDHMが雨季と規定しているか9月(MDHM,1999; Karki,2015)において200-500 mm/月 と多く、乾季の11-3月において少ないが、皆無ではなかった。 月降雨量(1971-2014での平均値)はいずれの月ともSankhu村でカトマンズ空港より多かったが、月別変動の状況は、とくに雨期において、両地点で同様であった。

Fig.3. Monthly rainfall at Sankhu and Kathmandu airport from 1971 to 2014

Table 2. Number of rainy days a month at Sankhu in 1971-2014

 5-9月における降雨頻度は高く、とくに7-8月ではほとんど連日にわたって降雨があった(Table 2)。このため、雨季終了前に播種が開始される夏バレイショ栽培では、降雨の影響が大きいことに留意しなければならない。

 降雨量と降雨頻度は月によって異なるが、年間の降雨日数と5-9月における月降雨日数との関係(勾配)は類似であった(Fig.5)。すなわち、雨季(夏季)における各月の降雨日数の変動は年間の降 雨日数の変動に対してほぼ同等に寄与しているとみなせる。

Table 3. A verage and variation of monthly temperature at Kathmandu airport from 1968 to 2014

Fig 6. Monthly air-temperature at Kathmandu airport averaged over

 カトマンズ空港における最高気温(1968-2014平均値)は4-9月で28-29°Cと高く、1月は18°C と低く、最低気温(同)は12-1月で2-3°C、6-9月で18-20°Cであった(Table 3 and Fig.6)。なお、最高・最低気温の記録値はそれぞれ36.6と-3.5°Cであった。

 カトマンズ空港での気温は過去47年間に上昇傾向(1968-2014年における平均気温の上昇率は5.1°C/100年)が認められた(Fig.7)。地球規模での温暖化の結果、あるいは、空港とはいえ首都に近く、都市化の影響を受けた結果であったかどうかなどについてはさらに広汎な観点からの検証が必要である。

 日平均気温が26.6°C以上となる日数はそれほど多くなかった(Table4)。すなわち、1980年代ま では皆無であり、1994年以降のみで発生し、多くの年次では1-3日間/年と少数であったが、ごく近 年での2010年と2012年では6-10日間/年と多かった。また、日平均気温が26.6°C以上となる日 はすべての年次で夏期盛期の5-8月に、また、8月ではほとんどが初旬に発生した。

 最低気温が7.2°C未満であり平均気温が7.2°C以上の日は冬季間にかなり高い頻度で発生し、とく に12月、1月ではほぼ連日であった(Table5)。

Blitecast 中間報告

Translate »