4 土地利用の変化
1985年からの上流域の土地利用には、大きな変化は無いものと思われる。
土地利用の経緯情報は、Google Earthの過去画像から類推した。利用可能な情報は1985年が一番古いことから、それ以前の情報は聞き取りをする必要があるが、調査は行なっていない。
1985年の画像は近年の画像より鮮明度が悪いが、大まかな利用区分は判断することができる。上流域の傾斜地では既に農地利用が行われており、水利に恵まれないことから、麦、雑穀、じゃがいもが栽培されていたと思われる。あるいは、階段状の耕地面が平坦となっていることから天水による水稲作も行われていた可能性がある。調査時(9~10月)に稲の収穫は認められなかった。
最上流区域の流域界付近の耕地は、2024年には放棄されている可能性もあり、農業経営が困難な場所(傾斜地、低温)からの撤退による変化も想定される。
山間地では従前の徒歩による物流が、ブルドーザー道が新設されることにより利便性が高まった。それでも移動の主体は二輪車に依存している。物流が良くなることにより、傾斜地を利用したイスクスの栽培面積が拡大している。
上流域での大規模開発の可能性は現時点では低いと思われる。農地の利用がさらに進むか、農業者の減少により荒廃地となるかも不明である。サンカラプール市では、現状での振興を検討しており、平場より条件不利地での振興は簡単では無い。
土地利用規制が無いので、道路ができれば平場の高い土地を避け、住宅としての利用も進む可能性もある。この地域よりも利便性の高い低い場所が先と思われるが、道路が整備されれば、土地価格により宅地化する可能性もある。宅地化により、水源流量の低下と水質の悪化が懸念される。
現状の土地利用が変化しなければ、水源環境は大きな変化も無く保持されるものと推察するが、社会経済環境の変化により、水源を涵養する森林面積が減少する可能性もある。
水源環境を保全する観点からは、流域全体の土地利用計画を想起するが、法体系の状況、土地所有状況の情報を有していない。さらに、利害関係者を含めた地域の合意形成方法にも情報が無い。

図-14 1985年12月

図-15 2010年1月

図-16 2018年12月

図-17 2024年5月